零落(浅野いにお)
終始、はじめから終わりまで、どんより曇り空が続いているような作品。
あえて雨の日曜日に、一人で布団の中で読むと、さらにどこまでも落ちて行けそうになる。
平和ボケした日常に飽きている人にはおすすめだ。
主人公は漫画家で、まるで作者本人のようだけど、私の中のイメージの浅野いにおはもうちょいひょうひょうとしている印象だ。勝手にイメージしているだけだけど。
連載を終わらせて燃え尽き症候群になった主人公がどんどん落ちぶれていく様を痛々しくつづっている。
「結局売れるものと、自分が書きたいものは違う。」
ソラニンでも同じことを言っていた。(ソラニンでは、「売れる音楽とやりたい音楽は違う」)
ソラニンと比べると、救いがなさすぎるように見えるけれど、
すべての人と同じように歳を重ねてきたあたしには、最後のあの読者と出会う場面は、一筋の光に思えた。
誰かと会ったり、仕事をしたり、どこかへ出かけるのに疲れた雨の日曜にどうでしょう。
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